放射性セシウムの影響
福島・栃木・群馬あたりの製材所等のバーク(樹皮)の処理が困っているそうです。
(この3県は林業先進地で、日本を代表する製材所がそれぞれあります。)
放射性セシウムは、雨のせいで枝と樹皮についてしまいます。
肥料として使うのに基準値を越えていないそうですが、
風評被害等もありなかなか処分できないということで
東京電力のバイオマス発電機に使うようにしたところ拒否されたそうで、
林野庁が指導に乗り出すそうです。
当社は大手に比べ製材量は足元にも及びませんが、
木材チップを製造するためバークが大量に発生します。
小さい工場とはいえ年間原木消費量は1万㎥を越えるので、
バークが処理できないと数ヶ月で山ができあがってしまうぐらいになり、
もはや生産を続けることができなくなります。
また、バークを長い間山積み状態にしておくと、
発酵して熱をもち、燃えてしまう可能性も少なからずあります。
これがまた樹皮だけの問題でもないようで、
てっきり枝・樹皮を取り払う製材品には問題ないと思っていました。
例え立木が土壌中に含まれた放射性物質を水と一緒に吸い取ったところで、
せいぜい形成層から辺材の一部に循環されるぐらいで、
木材の大半を占める心材には一切放射性物質が行くはずはないと思っていました。
心材はすでに細胞が死んだ材であり、水分(自由水)の移動がないからです。
しかし「木材情報」という雑誌によると、
広島やチェルノブイリの際にはむしろ心材に蓄積されるとのこと。
微量のため人体に影響は無いのですが、
同業者としては本当に同情を禁じえません。
風評には惑わされないようにしないといけません。
ましてや国内有数の製材所がある県での出来事ですから、
これらが生産中止となると国内の林業政策がとんでもないことになってしまいます。
せっかく無垢材、国産材を使おうという動きになっているのですから、
林野庁にはその動きが止まらないようにお願いしたいと思います。