「品質」とは
以前から申し上げているとおり、
製材業者の木製品には、「品質を担保する」ことが必要です。
では「品質」とは何か
ここのところずっと迷っていたのですが、
それなりに自分の中では指針ができたような気がしています。
例えば農作物加工品にたとえた場合、
無農薬・有機栽培をうたっている商品は、一般的には価格も高く大量生産には向きません。
虫食いだったり素材の形状等、品質はばらつきが多いでしょう。
JAS認定も無い場合が多いでしょう。
ただしそれを購入する消費者は、それを理解したうえで購入します。
その場合顧客満足度は低いのか?
いや、欠点を理解したうえで購入するわけですから、むしろJAS認定製品よりも高いといえます。
むろん、JAS規格の品質重視で購入された方は購入されません。
この考え方を元に木材製品に目を向けます。
建築用木材に限っていうと、公共工事というものがそれなりの比率を占めます。
これは「ノン JAS」、あるいはそれと同等の品質保証はしなくてよい、より自然に近いものがよい、
というわけにはいきません。
設計の段階で品質保証が必要となってきますし、価格面や納期も重大なファクターとなります。
では一般建築に目を向けますと、
すべての方が品質重視か、といわれた場合、決してそうではないということです。
ここで言う品質とはJASの規格のことになります。
では、そういった方はJAS規格の品質は必要ないということではなく、
「重要度が異なる」ということだけだと思います。
特に木材の場合、品質担保における乾燥のウエートがとても高いです。
高温乾燥だから、KD材だから品質(ヤング係数や強度)が担保されているわけではないのですが、
中温、ましてや天然乾燥だとさらに難しくなります。
杉の桁ならD20,柱材でもD15というのは実質無理かもしれません。
当然リスクはありますが、顧客・工務店・施工業者が正しくリスクを理解したうえで選んだのであれば、
それは顧客満足度の高い製品になるということです。
「品質」とは、顧客が最終的に求めるものであり、
我々はその品質に対しリスクを正しく理解し、
製品に関与する方々にそのリスクを正しく説明する必要がある。
製造段階ではその品質を担保すること。
さらに品質を高める努力を怠らないこと。
以上のことだと思うようになりました。
この場合、製材業者が正しい内容を周囲に伝える
「コミュニケーション能力」を持っているかが重要だと思います。
皆様に安心していただけるよう、伝える努力をし続けます。